乳がんにかかる女性の数が先進国の中で日本だけが増えているそうです。統計によると12人に1人が乳がんを発症すると言われています。食生活が欧米化していること関係がありそうですが、他の癌に比べると20代や30代の若い女性でも発症してしまうことが少なくないのが特徴で、若くして乳がんを発症すると進行が早いためにあっという間に転移して、最悪の場合死亡してしまうケースもあります。これは本当に大きな問題で、乳がんによる死亡リスクを少しでも軽減させるためには、定期的な乳がん検診が必須です。

検診の方法はマンモグラフィやエコー、触診などが一般的ですが、マンモグラフィは広範囲に検査が可能で、微細な石灰化の段階の腫瘍を発見することができるのに対して、若い女性は乳腺が多く乳腺と癌の判別が難しいためにあまり向いていません。また量は少ないですが被ばくの心配もあります。若い女性であればエコー検査が良いでしょう。触診ではわからない腫瘍を発見することができます。ただ微細な石灰化は発見しにくいです。

ところで、乳がん検診が重要であることは多くの女性が理解しているところですが、もし豊胸手術を受けた場合はどうなるのでしょう。手術したためにうまく検査することができなくなるという心配はないでしょうか。バストが小さいと言うことでコンプレックスを持っている女性は大勢います。そんな女性にとって豊胸手術はコンプレックスから解放されるための希望と言っても過言ではありません。しかし、それによってもし乳がんの検査をきちんと行うことができず、それがために命取りになってしまうようなことでもあれば、元も子もありません。

豊胸手術には「インプラント注入」や「脂肪注入」、「ヒアルロン酸注入」など、色々な方法がありますが、どのような方法で手術をしていたとしても問題なく乳がん検診は可能です。手術の方法によって適した検査の方法は異なりますが、精度の高い機器を使えば、術後でもきちんと乳がん検診を行うことができるので心配はありません。

たとえば、「インプラント注入」による豊胸手術を行っている場合は、MRIを使って調べていくことによって、早期がんをいち早く見つけることができます。それだけでなく万が一インプラントが中で破裂してしまっていたとしても、それをいち早く見つけ出すこともできます。ある病院では20%近くの女性に、インプラントの破損が見つかったのだそうです。これはかなりの割合です。このようなことからフランスのPIP社やブラジルのSilmed社の人工乳腺バッグは現在国際的に抜去が勧められています。

ただ豊胸のためのインプラントやその他の注入成分のことをあまりよく知らない医師もいます。そのような医師の場合、誤診を招く可能性もあるので、検診の前に豊胸手術を行っていることを伝えるか、できれば豊胸手術に詳しい医師のもとで乳がん検診を受けるのが安心です。たとえば手術を行っている美容外科などでは、手術だけでなく検診まで行っている場合も少なくありません。

また専門病院による乳がん検診では、マンモグラフィやエコー検査だけでなく、若い女性に増えている「非浸潤がん」を調べるために有効なマンモトームによる組織生研を行うこともあります。通常がんは周囲の組織に浸潤しながら広がり、しこりを形成していきます。しかし非浸潤がんでは、浸潤することなく乳管の中を這うように広がるためにマンモグラフィだけでは、がんがどこにあるのかわからないのです。そのようなケースにマンモトームは効果的です。さらに良性か悪性かを判別するために乳房MRIを実施することもあります。費用については精密検査の方法や保険適用の有無によっても変わってくるので、事前によく確認すると安心です。